2013年11月14日木曜日

無料のオンラインストレージを比較

 パソコンやスマートフォンの利用頻度が増える中で、今日まで様々なオンラインストレージサービスが提供されてきた。

だが、増えすぎたゆえどのサービスを利用するのが最も適しているのか混乱してきていたので、ここでそれらについてまとめてみようと思う。

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1. 比較に際して

1.1 比較するサービス

今回比較するのは、以下のサービス。

DropboxSugarSyncGoogleドライブADriveSkyDrive
BoxBitcasa4SyncYahoo!ボックスCopy

このうちどれか1つでも使ったことのある人は多いのではなかろうか。
よく見てみるとそれぞれ特徴があり、それを理解した上で使うとより作業効率や利便性が高まるだろう。

1.2 比較ポイント

比較するにあたり、重要視したポイントは次の点。
  • 容量
  • 転送速度
  • モバイルや他のサービスとの連携
それぞれ10点満点で評価し、3つの合計で比較することに・・・しようかと思ったが、中にはサービス連携よりも速度や容量に特化したものもあるので、やめておこうw



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2. いざ、比較!

2.1 容量

容量を比較する場合、最初から割り当てられている容量と、友人などの招待により得られる容量の2種類がある。それぞれについてチェックし、各々に合ったサービスを選択すると良いだろう。

2.1.1 初期容量

まず、友人などからの紹介ボーナスやキャンペーンを排した容量について比較する。
順位サービス名容量
1ADrive50GB
2Googleドライブ15GB
24Sync15GB
2Copy15GB
5Box10GB
5Bitcasa10GB
7SkyDrive7GB
8SugarSync5GB
8Yahoo!ボックス5GB
10Dropbox2GB
50GBを提供するADriveがダントツ。日本語には対応していないが、大きなファイルを複数保管する場合は、もっとも有力な選択肢となるだろう。
次点はGoogleドライブ、4Sync、Copyの15GB。ただし、GoogleドライブはGmail、Google+ Photoそれぞれのサービスと共通のスペースなので、写真をたくさんアップロードしたりメールが数GB単位で保存されている人は、ドライブとして利用できる容量が少なくなることを覚えておきたい。
Copyは以前紹介した記事の時より容量が増え(5GB→15GB)、より用途の幅が広がったことは注目に値する。

こう台頭されると、さきがけであるDropboxの2GBという容量は、今となっては見劣りしてしまう・・・

2.1.2 招待ボーナス容量

次に、友人などを招待することで得られる容量ボーナスを比較する。
順位サービス名容量
1Copy5GB
2Dropbox0.5GB
2SugarSync0.5GB
4Googleドライブ0B
4ADrive0B
4SkyDrive0B
4Box0B
4Bitcasa0B
4Yahoo!ボックス0B
44Sync0B
招待ボーナスはCopyの5GBが圧倒的。DropboxやSugarSyncの後追いだけに、追随を目指す意気込みが感じられる。
上記ではパッとしないBitcasaだが、友人を招待することで「1ヶ月間容量無制限」という、他とは違った特典がある。

ちなみに、以下のURLから各サービスへアクセスし登録すると、2.1.1の容量に上記の容量を加えた状態でサービスを利用開始することができる:

2.1.3 容量まとめ

以上により、友人などを招待する気がなければADriveが、複数人を招待できる状況においてはCopyが優勢のようだ。
招待といっても、筆者のようにサービスを紹介する記事を書いたりTwitterなどを媒介して招待用URLを知ってもらえれば、さほど難易度の高いものではないだろう。

とは言っても、読者の方々の支援の甲斐あって私も容量を得ることができ感謝している。
Copyに興味のある方はぜひこちらの記事を読んでもらいたい。


2.2 転送速度

次に、ダウンロード、アップロード時の転送速度を比較する。
比較に利用した環境におけるスピードテストの結果は次のとおりである:
サイト名DL速度UL速度
BNRスピードテスト56.40Mbps38.46Mbps
RBBスピードテスト42.56Mbps31.42Mbps
USENスピードテスト30.541Mbps

検証方法は、100MBのファイルをアップロード、ダウンロードする作業をそれぞれ5回ずつ行い、かかった時間を測定、結果の最高値と最低値を除いた3つの平均を出すこととする。

また、公平を期すため、今回は転送をWeb経由のみとする。そのため、実際に利用する場合は多少速度に差が出るかもしれない。
利用するブラウザは「Google Chrome Portable 30.0.1599.101」である。

2.2.1 ダウンロード速度

正直、下位のサービスの速度測定は時間がかかった(汗)
順位サービス名所要時間速度
1Yahoo!ボックス12.26s8.15MB/s
2Box23.56s4.24MB/s
3ADrive26.03s3.84MB/s
4Googleドライブ30.16s3.31MB/s
4Dropbox30.16s3.31MB/s
64Sync34.83s2.87MB/s
7Bitcasa49.40s2.02MB/s
8Copy135.46s0.73MB/s
9SkyDrive201.13s0.49MB/s
10SugarSync211.80s0.47MB/s
この記事を書こうと思ったきっかけとなったのが、Yahoo!ボックスである。
少しだけ脱線させてもらうと、こんな事があった。

普段と違う作業PCを利用する機会があり、そこで大容量ファイル(100~150MB)を扱っていた。それらをアップロード、ダウンロードする際、Dropboxのスピードに「遅い。時間がないのに。」と思っていた。そこでオンラインストレージサービスを探していたところ、Yahoo!ボックスを見つけた。
Yahoo!のサービスはメールくらいしか利用したことがなかったため、ストレージサービスには疑心暗鬼だったのだが、試しにファイルを1つUL、DLしてみて、そのスピードに驚愕した。

もちろん優れているのはYahoo!ボックスだけではない。上位のサービスであれば、外出先において急にファイルが必要になったときなどの状況において、より便利に利用することができるだろう。

2.2.2 アップロード速度

順位サービス名所要時間速度
1Box45.70s2.18MB/s
2Yahoo!ボックス50.20s1.99MB/s
3SugarSync51.70s1.93MB/s
4Bitcasa57.53s1.73MB/s
5Dropbox61.93s1.61MB/s
6Copy97.03s1.03MB/s
74Sync130.36s0.76MB/s
8Googleドライブ200.06s0.49MB/s
9ADrive212.90s0.46MB/s
10SkyDrive318.36s0.31MB/s
アップロードもBox、Yahoo!ボックスは快適。ひょっとしてユーザー数が・・おい何をする()
ダウンロード速度はなかなかであったADrive、Googleドライブは、アップロードでは振るわなかった。その点、古株のDropboxは安定している。
一方、ダウンロード速度は惨敗だったSugarSyncは、アップロードにおいては優秀な結果となっている。
SkyDrive、振るわないなぁ・・・

2.2.3 自動同期ソフトの有無

これらのデータに、PC用の同期ソフト提供の有無を加えると、以下のようになる。
サービス名DL順位UL順位ソフト
Yahoo!ボックス12
Box21
ADrive39×
Googleドライブ48
Dropbox45
4Sync67
Bitcasa74×
Copy86
SkyDrive910
SugarSync103
もはや敵なしのツートップ、Yahoo!ボックスとBox。ツートップと聞くと、これ思い出すねw

それはさておき、こうして速度を比較すると、ちょっと面白い使い方を思いつく。
アップロード速度に優れるSugarSyncと、ダウンロード速度と容量に優れるYahoo!ボックス。
Yahoo!ボックスの同期フォルダーの中にSugarSyncの同期フォルダーを入れておくと、
  ファイルをSugarSync同期フォルダーに保存
    ↓
  SugarSyncとYahoo!ボックスに同時にアップロードされる
    ↓
  外出先でファイルが必要なときはダウンロードが速いYahoo!ボックスからダウンロード
となる。何だか言いたいことの半分しか表せないww

つまり、複数のサービスを組み合わせて利用することで、速度や容量の欠点を補う運用ができそうである。

2.2.4 転送速度まとめ

今回検証してみて、まずは各サービスの転送速度の速さに驚いた。
一昔前のDropboxは200~300KB/sだったのに、今や下りで3MB/s超え。便利になったことよ!
ISDNやADSLの時代の人に教えたら、腰抜かすでしょうね。(懐古厨とか言われそう)

兎にも角にも、機密データや著作権を侵害するようなファイルでなければ、USBメモリー感覚でどこでも利用できる様になったことは素晴らしい。
(いや、ウチでUSBメモリー売れなくなったら困るのだけれどww)


2.3 モバイルや他のサービスとの連携

便利に使えるサービスも、Web経由のみでしか使えないサービス、機能に乏しいサービスはあまり日常に浸透しなかったりする。
最後に、各サービスが他のデバイスやサービスと連携できるのか、またどのような内容なのかを、簡単ではあるが比較してみる。

2.3.1 モバイルとの連携

まずは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末で利用できるソフト、アプリの有無、それがどのような機能を有しているのかをまとめる。提供状況は執筆時点のものであることに注意。
※「WP」は「Windows Phone」の略称。
サービス名有無対応デバイス主な機能
DropboxAndroid
iOS
BlackBerry
Kindle Fire
写真や動画のアップロード
ファイルの共有
ファイルの管理
└(Androidのみ)
SugarSyncAndroid
iOS
BlackBerry
Symbian(英語)
WP 5or6(英語)
写真や動画のアップロード
ファイルの共有
ファイルの管理
└(iOS、WP以外)
GoogleドライブAndroid
iOS
写真や動画のアップロード
ファイルの共有
ファイルの作成・編集・管理
ADrive×-※有料会員のみ
Android / iOS
にて利用可
SkyDriveAndroid
iOS
WP 7.5or8
写真や動画のアップロード
ファイルの共有
BoxAndroid
iOS
WP 7.5or8
Windows 8
写真や動画のアップロード
ファイルのアップロード
└(iOS以外)
ファイルの共有
ファイルの管理(iOS以外)
BitcasaAndroid
iOS
Windows 8
写真や動画のアップロード
└(Windows以外)
ファイルのアップロード
└(Androidのみ)
ファイルの共有
4SyncAndroid
iOS
BlackBerry
Symbian
写真や動画のアップロード
ファイルのアップロード
ファイルの共有
Yahoo!ボックスAndroid
iOS
写真や動画のアップロード
ファイルのアップロード
└(Androidのみ)
録音音声のアップロード
ファイルの共有
ファイルの管理
CopyAndroid
iOS
WP 8
写真や動画のアップロード
└(WP以外)
ファイルのアップロード
└(Androidのみ)
ファイルの共有

こうして一覧にしてみると、ADriveの有料会員のみのサポート、そしてGoogleドライブのファイル編集機能が目立つ。

ADriveについては、まずその初期容量の多さによりユーザーを獲得し、他デバイスとの連携を必要とするユーザーに対して月2.5ドルまたは年25ドルで100GBの容量+アプリの提供を行うというスタンス。
日本においては、言語サポートがない、無料ユーザーと有料ユーザーとのサービス差別化、広告の少なさなどからDropboxやSugarSyncほどの人気はないようである。急激に変化する市場の中で、今後無料ユーザーに対してもアプリの提供が行われるかもしれない。

Googleドライブについては、Googleドキュメントとの連携により、オンラインストレージサービス上でファイルの作成や編集を行うことができるのが最大の利点ともいえる。
どの程度の編集ができるかは他のサイトの記事やブログに任せるとして、その実力は必要最低限の機能を持ち合わせており、これを自宅や会社だけでなく、いつでもどこでも無料で行える点は称賛に値する。

2.3.2 他のサービスとの連携

他のサービスとオンラインストレージを連携させて利用できるサービスはそう多くない。
そもそも、オンラインストレージサービスはそれ単体では"ファイルの保管"の役割しか(基本的には)担えないため、様々なデータを"メモ"できる「Evernote」などとは性質が異なる。

その中でも、自社・他社の別のサービスと連携させることによって、あるフレームワーク上において享受できるUX(User Experience、ユーザー体験)の価値を高めたサービスがいくつかある。

■Googleドライブ
Googleは、2.3.1でも述べたが、Googleドキュメントで作成・編集したファイルの保管場所として利用され、しまいにはGoogleドライブ上でファイルの編集が可能となった。
これにより、ユーザーは「こっちのソフトで作って、こっちのサービスにアップロードして・・・」といったことを意識することなく、「ファイルを作って保存して共有して・・・」という作業に集中できる環境を提供している。
また、筆者も利用しているブログ公開サービス「Blogger」やSNSサービス「Google+」でも、画像を挿入する際の選択肢としてGoogleドライブ中のファイルを指定することも可能。
さらに、2013年11月12日(米国時間)より、Googleが提供するWebメールサービス「Gmail」にて、添付ファイルを直接Googleドライブに保存できるようにアップデートされたため、より利便性が高まった。

■SkyDrive
Microsoftは、WordやExcel、PowerPointなどのオフィススイート製品を開発・販売しているが、基本的な機能に的を絞って「Office Web Apps」というサービスを提供している。
Office Web Appsでは、Officeドキュメントの編集をWeb上で行うことができるサービス。Googleと同じく、これらのドキュメントの保存先としてSkyDriveを選ぶことができる
また、MicrosoftはWebメールサービス 「Outlook.com」において、SkyDrive上のファイルのリンクをメールに添付して送信することができるなど、ファイル共有の利便性を上げている。
さらに、(特にWindows 8以降の)Windows OSにSkyDriveを統合したことにより、OSやデバイスの違いを意識せず同じファイルを扱うことができるように戦略転換したことは正解だと筆者は考える。

■Yahoo!ボックス
Yahoo!も、上記の2社ほどまではいかないものの、Yahoo!メールにおける添付ファイルの保存先としてYahoo!ボックスを利用できる。
ただ、GoogleやMicrosoftとはサービスの内容が違うため、Yahoo!の別のサービスと連携することはなかなか難しいが、十分なシェアを獲得した暁には、このサービスと連携可能なサービスが現れることも十分あり得る。

■Dropbox、SugarSyncなど
これらのサービスを提供する会社は、上記の企業ほどの多様なサービスを持っていないが、別のサービスや商品と連携できるものもある。
たとえば、I・Oデータのネットワークハードディスクの中には、HDD内のデータをDropboxと同期させて、外出先などから擬似的にHDD内のファイルにアクセスする機能を有するものも存在する。以下のHDDはそれに対応している。買いたいなー・・・w
(左から2TB、4TB、6TBモデル)

また、Evernoteのようにノートやメモをデジタルで保存するサービス・アプリ「CamiApp」は、ノートの保存先としてSugarSyncを選択できるため、学生はノートやレジュメを、主婦はレシートなどを手軽にアップロード・管理することができる。

このようなサービスやアプリは今や数えきれないくらい存在するため、自分が利用するアプリやサービスが対応しているという観点でオンラインストレージサービスを選ぶことも利便性を高める一つの"ものさし"となるだろう。

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3. まとめ

容量、速度、連携の3点で比較してきたが、それぞれのサービスに長所、短所があり、また頭抜けた機能や特徴を持ったサービスもあった。

それらを一言で表すとすれば、以下のようになる。
  • 初期容量のADrive
  • 招待ボーナスのCopy
  • 転送速度のYahoo!ボックス、Box
  • 連携のGoogleドライブ、SkyDrive
うーん、無理やり感が否めないw

しかし、利用目的により単一の最適解が出ないということがわかる。そのため、2.3.2でもふれたが、自分の利用の目的や他のサービスに合わせたサービスを選ぶとよいのではなかろうか。

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